「有機アップルソース」を製造する老舗りんご加工会社

サンフランシスコから車で北上すること約1時間。セバストポルのあるカリフォルニア州北部はりんご栽培が盛んである一方、近隣のソノマやナパなどに象徴されるようにカリフォルニアワインの産地としても有名です。りんごの街といわれるセバストポルでも自分の畑や農地をぶどう畑に変える農家が少なくないそう。そんな中、1922年より一貫してりんご産業と向き合ってきたのがブラウンシュガーファーストの「有機アップルソース」を製造する老舗りんご加工会社のマンザナ社。「この土地で祖父や両親がやってきたことをわたしはそのまま引き継いで行っているだけ。わたしもこの会社も、まさにりんごと一緒に育ってきたわ」。そう話すのはマンザナ社の現社長、スージー。創業者を祖父に持つ彼女は三人の子どもを立派に育て上げた母の顔も持っています。「アップルソースの存在を知り、いろいろ調べた結果マンザナ社にたどり着き、スージーに会いに来たのが1年前。名だたるオーガニックブランドの製品を作っているという輝かしい実績以上に、マンザナ社のアットホームな雰囲気とそこで働いている人々の笑顔、そしてなによりスージーの家族や会社に対する深い愛情に共感し、その場で製造を依頼しました」(荻野)。

先述したとおり、アップルソースはアメリカではどんなスーパーでも必ず見かける定番商品。そのため数多くのブランドが独自の商品を展開しています。その中で、完全有機のアップルソースは全体の約7%に留まります。その7%のうち、なんと約7割をマンザナ社の製品が占めています。「全米に流通する有機りんご製品の中ではかなり高いシェアを保っています。その強みを活かし、さらに多くの人にこのすばらしい製品を届けるのがわたしたちの使命です」。そう説明してくれたのはマンザナ社の国内外事業マネージャーのアヌー。彼女自身も今年男の子を出産したばかりの新米ママ。「マンザナ社では自社の農園でも有機りんごを栽培していますが、それだけでは製造が追いつかないので、アメリカ北西部のワシントン州やオレゴン州からも有機りんごを買い付けています。工場ではアップルソースのほかにアップルヴィネガー(リンゴ酢)やアップルサイダー、アップルジュースなども作っています」。アヌーに連れられ、アップルソースの製造工程を見せてもらいました。

撮影:濱田英明 文:引地海
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