エコフレンドリーな「有機アップルソース」の製造工程

factory1

収穫されたりんごはまず昔ながらのりんご洗い機で洗われ、そのあと人の手で選別されます。次に1950年代から使われ続けている年季の入ったりんご皮むき機に乗せられ、果肉と芯と皮に分けられます。

factory2

果肉はアップルソースに、芯などの破片はアップルヴィネガーの原料に、皮むき機に乗らない小ぶりのものはアップルジュースに、そして最後に残った皮の部分は家畜の餌にまわされます。「あらゆる製造工程において、ゴミは出さないように最大限努力しています。りんご自体はもちろんのこと、毎日運び込まれるガラス容器を入れる段ボールも、製品出荷時にそのまま再利用するようにしています。

factory3

エコフレンドリーであり続けることも私たちのミッション。
近年特に力を入れているのはソーラーパネルによる自家発電です。1ヘクタールある倉庫の屋根に敷き詰めた1755枚のソーラーパネルで、自社消費エネルギーの約5割をまかなっています。近い将来、さらにソーラーパネルを増設して、その割合を95%にしたいと考えています」(アヌー)。
「工場全体の機能が1年前より格段に向上してる!」と荻野も驚きを隠せない。昔ながらのりんご皮むき機の隣には、取材前日に納品されたという最新鋭のりんご加工機器が設置され、既存ラインと並行して運転することで生産力をさらに引き上げる予定とのこと。また品質管理の面では検査室が新設され、日々製造される大量の商品や過去のストックを専門スタッフが徹底的に管理しています。「より多くの人に安定した品質を届けるためには、新しい設備投資が不可欠。農家の思いや人の温もりを大切にするスージーのマインドをベースに、新しいことにも積極的にチャレンジしていきたいと思っています」(アヌー)。

工場見学のあと、荻野はマンザナ社が所有するりんご畑で現社長のスージーと再会。久しぶりに会うふたりはお互いのビジネスの近況報告は早々に、家族やプライベート、さらには社会情勢などの話に花を咲かせました。荻野が日本において女性が仕事と家庭を両立することがいかに大変かを熱弁すると、「誰も理解してくれない!といら立つ気持ちはわたしも若いころにたくさん経験したわ。ミドリ、頑張ってね。応援しているわ」とやさしい笑顔で荻野を包み込んだ。最後に日本での展望をスージーに尋ねると、「わたしたちが自分の子どものように大切に育ててきたアップルソースをミドリと一緒に日本で広められることを誇りに思います。みなさんの大切な家族と一緒にこの味を楽しんでもらえるとうれしいです」と、まるでりんご畑の木漏れ日のように穏やかな口調でそう答えてくれました。

撮影:濱田英明 文:引地海